13全史料協第30号
平成13年11月28日
総務大臣
片山虎之助殿
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会
会長太田雄二郎
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)は、歴史資料として重要な価値を有する公文書 その他の記録について、散逸と消滅を防止し、国民の共通の財産として後世に伝え、保存することを 目的として、全国の資料保存機関や行政の文書管理担当者等の参加によって構成されています。
さて、政府は、平成12年12月1日に閣議決定された「行政改革大綱」において現在3,200ある市 町村を1,OOO程度にする方針を打ち出しました。また、平成13年6月26日の閣議決定の「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」でも「目途を立てすみやかな市町村の再編を 促す」としております。
このような状況を踏まえ、市町村によっては既に含併を実施し、あるいは合併に向けて検討をはじ めたところもあります。
こうしたなかで、全史料協が最も危惧するところは、これからの市町村合併に伴う公文書等の散逸 や安易な廃棄の危険性についてであります。
公文書等の散逸や廃棄の問題は、過去にさかのぼれば、昭和28年10月に発効した町村合併促進法 施行の時にあります。合併された町村の公文書等の多くは、新しい市町村に引き継がれず、取り残され、廃棄されるという結果となりました。その公文書等の数は想像もできない数量にのぼりました。
公文書館法(昭和62年法律第115号)第3条では、「国及び地方公共団体は、歴史資料として重要 な公文書等の保存及び利用に関し、適切な措置を講ずる責務を有する。」と規定し、地方公共団体における公文書等の保存の責務を明確にしております。地方公共団体で作成される公文書等は、その団 体の歩みを伝える重要な価値を有する歴史資料であり、こうした公文書等を失うことは、その団体の歴史を失うことにほかなりません。
このような認識の下、市町村合併時における公文書等の散逸や安易な廃棄を防止し、公文書等の引 継ぎの円滑化と保存の徹底を図るよう各市町村に対し指導方要請します。
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