令和6年能登半島地震被災歴史資料・文化財保全活動等に関する情報
令和6年能登半島地震被災歴史資料・文化財保全活動等に関する情報令和6年能登半島地震について
被災されたみなさま、復旧・復興に尽力しておられる関係者のみなさまに、お見舞い申し上げます。
人命救助、生活復旧の後、地域の復興とあわせて、被災地の歴史関係機関・団体等を中心とする被災歴史資料・文化財保全の取り組みが始まることと思います。
全史料協としても、関連機関・団体と連携し、被災地における被災歴史資料・文化財保全活動の支援等に取り組んでいきたいと考えています。
被災史料や支援要請に関する情報をお寄せください。
全史料協会長 辻川敦
会長事務局 secretariat★jsai.jp 電話06-6482-5246(あまがさきアーカイブズ、辻川)
調査・研究委員会事務局(岡山県立記録資料館)
※★を@に直してください。(以下同じ)
なお、当協議会の地震対応について、当ウェブサイト及び全史料協SNS(fb、X)において情報発信に努めるほか、全史料協会員向けの災害対応メールグループを立ち上げ情報交換に努めています。災害対応メールグループ参加ご希望の方は、会長事務局(secretariat★jsai.jp)までお申し出ください。
1 会員機関被災状況(第1報、2024年1月5日段階)
県 市町村 機関名 被害状況 確認月日 確認時間 福井県 福井市 福井県文書館 ・文書館2階の書庫に設置した固定式書架(刊行物保管用)1台が転倒 1/3 12:00 富山県 富山市 富山県公文書館 ・閲覧室および書庫の史資料の散乱 1/4 8:30 石川県 金沢市 金沢市立玉川図書館近世史料館 ・書庫内の史料の散乱
・1月4日・5日で復旧1/1 18:00
2 被災歴史資料・文化財保全活動取り組み団体
調査・研究委員会事務局及び会長事務局を窓口として、以下の団体と連絡を取っており、今後連携に努めていきます。
(1) 文化遺産防災ネットワーク推進会議
https://ch-drm.nich.go.jp/about/meeting.html
独立行政法人国立文化財機構文化財防災センター(事務局:奈良文化財研究所)
https://ch-drm.nich.go.jp/
【2024年2月6日追記】
【2024年2月23日追記】
- 文化庁による能登半島地震被災文化財等救援事業において、被災各県との連携、情報収集を行っており、被災文化財等救援委員会の設置、現地活動について準備中。
- 2024年1月23日付で文化遺産防災ネットワーク推進会議参画団体に対して救援委員会設置後の協力要請あり。(全史料協も参画団体です)
【2024年3月17日追記】
- 2月13日、文化庁と石川県が「文化財レスキュー事業」と文化財建造物の応急措置と復旧に向けて被災地に専門家を派遣する「文化財ドクター派遣事業」に係る初会合が開催されました。
- https://ch-drm.nich.go.jp/facility/2024/02/post-83.html
- https://www.youtube.com/watch?v=KKparkyVtGs
(2) 国立公文書館 被災公文書等救援チーム設置 窓口:業務課総括係・DA係
- 3月11日、文化財レスキュー事業能登現地本部が石川県鳳珠郡能登町字柳田仁部54(能登町立柳田公民館)に開設されました。
- https://ch-drm.nich.go.jp/facility/2024/03/post-88.html
https://www.archives.go.jp/about/activity/kyuuen.html
(3) 歴史資料ネットワーク
http://siryo-net.jp/
(参考:歴史資料ネットワーク、新潟歴史資料救済ネットワーク呼びかけ =1月10日付産経新聞記事)
https://www.sankei.com/article/20240110-CHXDMPSHP5LKTG7X2T2RQMQ36M/
(4) いしかわ歴史資料保全ネットワーク
【2024年3月25日追記】
- 3月1日発足。略称「いしかわ史料ネット」。
- 石川県内に残された歴史資料を対象に、全国各地で結成されている「史料ネット」と同様、その保存・継承のため、大規模災害発生時の対応および災害発生に備えた歴史資料等の保全・活用を進める活動を行っていくとのことです。
https://sites.google.com/view/ishikawashiryonet/
3 被災地における動向(2024年1月17日段階)
(1) 令和6年能登半島地震被災資料対応WG
https://20240101noto.amane-project.jp/
運営事務局:合同会社AMANE
被災資料対応を目的として研究者・専門家有志が設立した団体です。
全史料協会長の辻川がワーキンググループに参加しています。
(2) 石川県の状況
石川県立歴史博物館、被災した古文書や美術品などの扱いについての呼びかけ
https://ishikawa-rekihaku.jp/special/special_top.php?cd=2024011602
【2024年2月6日追記】
【2024年2月27日追記】
- 2024年1月26日付け北国新聞「能登の文化財保全へ 9市町の連絡協」と題する記事掲載。(有料記事リンクURL以下のとおり)
- https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/1300144
- 能登文化財保護連絡協議会を中心に保全活動を進めるとのことで、国・県等との連携関係を構築中の模様。
- まだ外向けのサイト等は構築されていないようなので、活動準備中という段階かと思われます。
(3) 福井県の状況
- 石川県公式サイトに「令和6年能登半島地震「文化財レスキュー事業」及び「文化財ドクター派遣事業」について」と題する記事掲載。
- https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kyoiku/bunkazai/r6notojishin/index.html
福井県文書館、資料保存呼びかけ((1月17日NHK福井NEWS)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20240117/3050016803.html
【2024年2月6日追記】
【2024年2月23日追記】
- 県内の歴史資料の状況について、県教育庁生涯学習・文化財課と県文書館が適宜情報交換を行っている。県内市町からは史料被災情報は今のところ報告されていない。
- 県文書館から被災市町に電話連絡・情報収集。あわら市(石川県隣接、震度5強を観測)の郷土歴史資料館(同市文化学習課)から史料被災について住民からの情報提供や問い合わせは現状ないとの回答を得ている。
- 福井県に対して、石川県側から今のところ被災資料対応等についての依頼はない。
(4) 富山県の状況
- 2月15日付、全史料協会長・副会長(福井県立文書館長)連名により、被災自治体である福井県あわら市・坂井市の担当課宛文書「令和6年能登半島地震による被災歴史公文書等の保全について」を発出しました。
(※1月12日段階の状況について、会員から寄せられた情報をもとに、会長事務局の責任において編集しています。知り得た範囲の情報の速報ということで、ご理解ください。)
【2024年2月6日追記】
- 滑川市・黒部市・上市町・立山町・朝日町の富山県東部の自治体(震度5弱)は災害救助法適用内だが被害は比較的軽微か。
- 魚津市・入善町は震度4のため適用外。
- 舟橋村・富山市より西側は震度5強、文化財(富山城の石垣、五箇山の合掌造り等の有形文化財、史跡)にも被害が出ているという報道及び学芸員ルートの情報あり。
- 能登地域に含まれる氷見市は奥能登ほどではないものの被害大。
- 氷見に近い富山湾沿いの高岡市伏木地域と射水市新湊地域に液状化被害との情報あり(特に伏木)。
【2024年2月23日追記】
- 高岡市、氷見市などで文化財の被災情報があり、いずれも地元博物館・資料館においてレスキューが実施されています。
- https://www.chunichi.co.jp/article/848298
- https://webun.jp/articles/-/544170
- https://twitter.com/himicitymuseum/status/1752279319161004331?s=46&t=ooF8pRThxESRWNLMw1IFqw
【2024年3月1日追記】
- 2月21日、全史料協森本祥子副会長が高岡市立博物館を訪問し、同館が取り組む被災史料・文化財保全活動についてうかがいました。その様子が北日本新聞に報道されています。https://webun.jp/articles/-/555403
(5) 新潟県の状況
- 2月27日付、富山県歴史資料保存利用機関連絡協議会(富史料協、事務局:富山県公文書館)会長・全史料協会長連名により、県内市町村担当課宛文書「令和 6 年能登半島地震による歴史公文書等の被災と保全について」を発出しました。
(※1月15日段階の状況について、会員から寄せられた情報をもとに、会長事務局の責任において編集しています。知り得た範囲の情報の速報ということで、ご理解ください。)
【2024年2月7日追記】
- 新潟県内のおもな地震被害は、新潟市海岸砂丘地域下の液状化現象による住宅・インフラ被害及び上越地方海岸地域の津波被害など。
- 現状、公文書を保管する庁舎の被災や前回中越地震時のような中間山間地での蔵倒壊等の被害はほぼないと予想。
- 県内被災市町村の非現用文書については、(ア)平成の合併時並びに中越・中越沖地震時(平成14〜20年頃)に新史料協で合併被自治体非現用文書の保存運動を行い保存について一定の成果。(イ)ここ10年余りの間に、上越市(公文書センター)、新潟市(公文書分類センター→市文書館)、長岡市(歴史文書館)が開設され不十分ながらも非現用文書の管理が行われているので懸念はかなり解消されている。
- 新潟県歴史資料保存活用連絡協議会(事務局:新潟県立文書館)から同協議会会員市町村に向けて、「被災した「文書等」の取扱いについて(お願い)」が発出されました。
4 今後の取り組みと課題
(1) 被災自治体の非現用文書(2) 各自治体の災害対応に関する公文書等の保存について
- 被災市町村の非現用文書の保存(特に、地域の会館や旧学校施設等においてしばしば保存される合併自治体の非現用文書など)についての懸念が、災害対応メールグループ等において指摘されています。
- これについて、被災地の県の機関と連携して市町村の働きかけるなどの取り組みを行っています。福井県文書館との連名による働きかけについては、上記3(3)の2024年2月23日付追記をご覧ください。
- 今後取り組みに応じて作成される各自治体の災害対応に関する公文書等の保存についても、働きかけていく必要があることが、災害対応メールグループ等において指摘されており、今後の働きかけ等について検討していきます。
以上