「文書管理法(仮称)制定に向けての要望について」を上川陽子公文書管理担当大臣宛に提出しました。
去る5月12日(月)午後、村田茂全史料協会長(大阪府公文書館長)は内閣府をたずね、内閣官房公文書管理検討室の福井仁史参事官に直接説明のうえ、上川大臣宛の要望書「文書管理法(仮称)制定に向けての要望について」(全文は下記)を手渡しました。
この要望書は、総務委員会内に設けたワーキンググループが、文案を作成していたものです(委細は、3月21日記事「役員会会議報告<第3回>」の2
協議(3)を参照)。
福井参事官は、要望事項の説明に対し、
- 民間の文書の保存はこれまでなかった論点
- アーカイブズ、アーキビストにあたる適切な日本語はないのか
- 公文書管理については利害関係者が明確でないのが特色
などとコメントし、全史料協がこの問題に強い関心を持つ専門家団体であることを確認しあい、和やかな雰囲気のうちに、40分ほどで面会は終了しました。
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説明する会長らと福井参事官
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---------- (以下、要望書) ------------------------------------------------------- |
平成20年5月12日 |
公文書管理担当大臣
上川 陽子 様 |
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会
会長 村田 茂 |
文書管理法(仮称)制定に向けての要望について |
私ども全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)は、歴史資料として重要な価値を有する公文書その他の記録について、散逸を防止し、国民の共通の財産として後世に伝え、保存し利用に供することを目的として、全国の地方公文書館をはじめとする資料保存機関や行政の文書管理担当者等で構成する専門家団体です。昭和51年の設立以来、一貫して文書の保存管理の改善向上を目指し、昭和62年の公文書館法成立にあたっては中心的な役割を担い、また、自治体における公文書館等の充実及び設立を支援し、公文書館業務についての入門的研修や専門的研究セミナーを随時開催するなどの日常活動を積み重ね、国内外における専門的な活動を展開してまいりました。
この中で、平成16年1月30日には、当時の内閣官房長官福田康夫氏にあてて、要望書「21世紀日本のアーカイブズに関する要望について」を提出しました。今年に入り、2月には上川大臣の公文書管理担当相御就任、内閣官房に公文書管理検討室が設置されたことは、私たちにとって大変うれしいニュースでした。上川大臣の御尽力により、3月以降「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」がこれまで4回にわたり開催され、私どもも力づけられましたことを、ここに感謝申し上げる次第です。
5月に開催予定の有識者会議の後、6月にも中間報告を出す予定であると聞き及んでおります。つきましては、下記4項目を実現に結び付けていただきたく、ここに改めて別紙のとおり要望いたします。
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記
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- 文書管理に関する法の制定と施策の確立
- アーカイブズを保護する基本法の制定と施策の確立
- アーカイブズの保存利用機関設置促進の法的整備と施策の確立
- 専門職員の養成及び資格認定制度の確立
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以上 |
[別紙]
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会
文書管理法(仮称)制定に向けて
要 望 事 項
1 文書管理に関する法の制定と施策の確立
国及び地方公共団体の公文書等の発生から選別・保存、利用に至るまでの文書管理と収集基準や公開基準なども包括した、一貫した文書管理に関する法を制定するとともに、それを実現させる施策を確立することは、極めて重要な課題と考えます。
文書管理法の速やかな制定と施策の確立を要望します。
2 アーカイブズを保護する基本法の制定と施策の確立
現行公文書館法においては、公文書館が民間所蔵のアーカイブズを保存する根拠規定が脆弱であり、また、企業・団体等においても、自らの資料を保存・管理又は委任する法的・精神的拠り所が必要であると考えられます。
そこで、国及び地方公共団体のみならず、企業・団体・個人で作成、保存してきているアーカイブズを保護する基本法を制定し、それを実現させる施策を確立することを要望します。
3 アーカイブズの保存利用機関設置促進の法的整備と施策の確立
地方公共団体・企業・団体等において、アーカイブズを適切に保存し利用に供するためのアーカイブズの保存利用機関設置促進に向けた法的整備を行うとともに、それを実現させる施策を確立することを要望します。
4 専門職員の養成及び資格認定制度の確立
公文書館等を充分に機能させるには、専門職員(アーキビスト)の配置が重要と考えます。
そのために専門職員の養成制度と資格認定制度を早急に確立することを要望します。
以上
---------- (以上、要望書) ------------------------------------------------------- |