記録遺産を守るために
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会【全史料協】
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1 はじめに
1−1 手引き策定の経緯と目的
 1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生し、文書館や図書館の地震被害が多く発生しました。幸いに火災による大規模な資料の焼失や火災に伴う水損もありませんでした。しかしながらこの災害の教訓として、災害を受けやすい日本でこれまで文書館の災害対策が十分でなかったとの反省がありました。
 そこで全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)では、同年4月災害対策小委員会を設置し、今後の災害対策をいかに進めるかの検討を行うこととしました。この手引きは、その検討作業の一部として策定されたものです。
 文書館は代替性のない歴史資料を保存する機関ですので、さまざまな災害から資料を保存して行くために、災害対策を進める必要があります。災害は全国を画一的に襲うわけではありませんから、それぞれの文書館に適合したものでなければなりません。それゆえにそれぞれの館にあった災害対策を進めるために、館が災害対策の基本となる防災計画を持つ必要があります。この手引きは防災計画をたてる際に参考としていただくため文書館の災害対策について簡単に述べたものです。

1−2 災害対策の構成
 防災計画は、災害が発生した場合の対応を書いてあるだけではありませんし、消火器の場所と避難経路を示したものだけではありません。災害対策には、予防対策、緊急対応、復旧対策の3段階があり、それぞれに準備を行う必要があります。緊急対応を適切に行うためには事前に計画し、準備しておくべきことも多くあります。したがって防災計画もそれぞれに対応した計画が求められます。
 防災計画は予防対策、緊急対応、復旧対策の3段階で行うことを文書館として定め、実行して行くためのものです。実際の進捗にしたがって防災計画を見直して行くことが必要です。