【概 要】
京都大会で京都大学大学文書館の西山伸氏が提起された公文書管理法における国立大学法人等の法人文書管理の
問題点について、ワーキング・グループを作って検討し、3月10日に民主党幹事長、公文書担当大臣、
大臣政務官宛に陳情を行いました。
国立大学法人にあっては公文書管理法2条3項2号の定める国立公文書館等の設置へ向けて動いているのはわずか6法人であり、
独立行政法人通則法2条1項に規定する独立行政法人にあっては、その動きすらありません。
これは、「特定歴史公文書等の保存、利用及び廃棄に関するガイドライン」のうち、
「B章 保存」、「C章 利用」等に独立行政法人等が対応することが、財政的に困難であることに原因があります。
また、国立大学法人においては、法人文書ファイル管理簿に記載されていないいわゆる「簿外文書」の存在が
多数確認されており、それらを含め、本来歴史公文書等に該当するものが不用意に廃棄されないような対策が
必要となります。
これらの問題点について、全史料協として、関係各機関への働きかけや、具体的な支援を求めたものです。
【ワーキング・グループメンバー】
・熊嵜 歳介 (副会長 山口県文書館)
・小松 芳郎 (副会長 松本市文書館)
・八津川 和義 (大会・研修委員長 広島県立文書館)
・所澤 潤 【座長】(理事 群馬大学大学院)
・小川 千代子 (参与 国際資料研究所)
・早川 和宏 (大宮法科大学院大学)
・小池 聖一 (広島大学文書館)
・西山 伸 (京都大学文書館)
・事務局(阿久津 聡、小高 哲茂)(群馬県立文書館)
(順不同)
【経 過】
@2010年11月25日の京都大会の全体会で西山氏より国立大学法人の法人文書の保存管理について問題点が提起され、
副会長、大会・研修委員長により対応の必要性が確認された。
A事実確認と対応を考えるためのワーキング・グループを設置。2011年1月14日に検討会を持ち、状況確認と
対応の方向性について検討。公文書担当大臣に陳情を行うことに決定した。
Bその後、ワーキング・グループ内でメールのやりとりを行い、陳情内容の検討を重ねた。
Cワーキング・グループで検討したものを、2月25日の役員会で提示し、承認された。
(これと前後して、小池氏が広島県選出の松本大輔議員を通して、陳情日程を調整した。)
D3月10日、松本大輔事務所片山哲生秘書の案内により、民主党陳情要請対策本部副本部長岸本周平議員、
そして内閣府大臣政務官の園田康博議員に陳情を行った(蓮舫大臣宛要望書も政務官に手渡す)。
要望書(PDF)
【陳情当日の様子】
3月10日(金)
陳情参加者:富岡会長、熊嵜副会長、小川参与、所澤理事、早川氏、事務局(小高)
11:30〜11:45
衆議院本館第5控室にて、民主党陳情要請対策本部副本部長岸本修平衆議院議員と面談
・民主党幹事長宛要望書を手交
<岸本議員のコメント>
皆様の熱意と内容の重要性は承知した。次の段階として予算措置については、国立大学法人等と共同で
具体的な予算額を文部科学省に示して欲しい。具体的には、文部科学省から財務省に予算要求をすることになるが、
23億円なら23億円と示していただければ、その際、その予算措置について党から働きかけることができる。
自分は大蔵省の主計局にいたことがあるのだが、そこでは予算について金額・費目で考える。
具体的な数字をお願いしたい。
(写真 岸本議員への陳情・懇談)
13:15〜13:30
内閣府政務官室にて、内閣府大臣政務官園田康博衆議院議員と面談
・大臣政務官宛、公文書管理担当大臣宛要望書を手交
(公文書管理課長の福井仁史氏他1名も同席)
<園田大臣政務官のコメント>
文書管理の重要性は良く理解している。しっかりやらなくてはならないことは承知しているので、
陳情されたことに留意していきたい。方法としては、国立公文書館に集めて保存・管理できるように
することも視野に入れつつ、個々の国立大学法人で保存・管理できるようにすることも、実態を見ながら対応したい。
学生時代、アメリカ合衆国憲法の日本語訳を探したことがあったが、日本全国の大学のどこにも無かった。
よくよく調べてみたら自分の大学(慶応大学)の書庫に収蔵されていたということがあり、資料保存の大切さを実感した。
大学の各機関の文書は、貴重な財産であり、将来にわたってしっかり保存・管理し、活かしていくことが必要である。
とくにそれぞれの大学の学生にその重要性を分かって欲しいと考える。
(写真 園田政務官への陳情)
(写真 園田政務官との懇談)
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