平成23年6月8日
内閣総理大臣 菅 直 人 様
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会
会長 井口 和起
東日本大震災被災地における公文書等の保全・保存に関する要望書
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(略称「全史料協」)は、国や地方自治体、大学の
公文書館、文書館等の機関及びその職員等で構成する団体です。
昭和51年に結成以来、歴史資料・公文書等を国民共有の財産として保存し、後世に継
承、利用を促進することを目的に活動を続けております。
今回の東日本大震災により、被災地では多くの公文書等が毀損・散逸しており、被災地
にある公文書等の保全や毀損資料の救済・復元は、地域住民の生活と多様な文化の再生に
不可欠であり、地域の復興に取り組む上でも極めて重要であります。
さらに、被災経過や今後の復興過程を記録する多様な資料の収集・保存は、国や自治体
が住民に対する説明責任を果たす上でも必要不可欠であります。
今春施行された「公文書等の管理に関する法律」では、地方公共団体にその保有する文
書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、実施する努力義務を課しておりますが、今
回の震災による被害は極めて広範かつ深刻で国による対応と支援が不可欠であります。
全史料協としても、臨時委員会を立ち上げ、公文書等の保全・保存活動を一層強力に推
進していく所存であります。
つきましては、今回の東日本大震災の被災地にある公文書等について、速やかに的確な
施策を実施できるよう、下記の事項について強く要望いたします。
記
1 被災地にある公文書等の保全と救済について万全を期すとともに、その保全・保存活
動を行う自治体や団体、ボランティア等に対する支援措置を講じること。また、必要な
人的派遣や施設の確保についての支援を行うこと。
2 国において公文書等の被災実態の調査を行うこと。その際、被災企業をはじめ民間団
体や個人の記録等についても可能な限り調査の対象とすること。
3 被災した公文書館や類似施設の復旧・再建に必要な支援を行うこと。
4 被災自治体において失われた資料については、国、県、市町村、図書館・博物館等が
保管、所蔵する公文書等や資料からの復元方策を検討すること。
5 被災から復興過程まで全体を公文書として記録し保存するとともに、民間記録も含め
た多様な媒体の資料を収集・保存し継承すること。
6 公文書等が健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であるという「公文書
等の管理に関する法律」の趣旨を生かした「震災復興構想」を策定すること。
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