内 容 |
情報公開や市町村合併の動きに対応し、保存利用施設への移管・収蔵が制度的に成功したとしても、保存庫のなかで史料が崩壊してしまっては何の意味もありません。それは電子化記録以前の問題です。伝統的な和紙から様々な素材を使用するようになった20世紀の史料を21世紀に伝えていくための問題として、酸性紙以外の様々な劣化損傷問題が新たに判明してきています。保存利用機関では、劣化抑制や保存処理のための保存管理プログラムの策定が必要であり、そのプログラムには史料の全体的かつ客観的な状態評価のステップが不可欠です。元興寺文化財研究所による国立機関レベルから個人コレクションレベルまでの調査事例を紹介いただき、それら情報の保存プログラムへの組み入れについて考えたいと思います。
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