内 容 |
従来議論の機会の少なかった利用の視点から、文書館や保存利用機関の在り方を見直そうとするものです。日常的に窓口を開いて地域の利用者を迎えてみると、文書館あるいは史料に求められているものは、実に様々であることに気づきます。歴史研究としての利用は必ずしも多くはなく、社会的活動や財産保全等のための情報価値や証拠価値、法務価値を求めての利用も多いし、永年保存対象の土木や耕地関係文書は、実際にその役割をよく果たしています。情報公開の推進にあたり、国同様のシステムがとられれば、この傾向は一層強まるものと考えられます。史料=歴史研究資料という認識は、かつてにくらべれば薄まっていますが、一般への利用提供となると比較的古い文書が多くなるため、史料=歴史研究資料としての対応が中心となっていないでしょうか。歴史研究とアカンタビリティーのはざまで、その機関の像も変わってくるともいえる問題です。
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