内 容 |
我が国の文書館・史料保存利用活動は、山口県文書館設立から40年、戦後の史料保存運動、文部省史料館からは50年の歴史を積み重ねてきました。この間、公文書館法の制定など史料保存利用を後押しする動きに支えられて文書館開館の動きも広がりを見せ始めました。保存すべき史料の対象も、すでに歴史的存在となっている史料から、現代の文書を未来に向けて組織的に残していくところにまで広がりました。そこでは、文書館本来の業務や文書館の独自性が問われることにもなりました。さらに文書館だけでは地域の史料全体を残していくことは不可能であり、他の保存利用機関や民間団体、所蔵者、一般市民との関係・連携が議論されるようになりました。
20世紀末には社会の変化は急激なものがあり、それに対応する組織や制度の変革が、21世紀冒頭の課題と状況になっています。具体的には、情報公開制度、個人情報保護制度であり、文書の電子化、市町村合併の推進などです。21世紀冒頭の史料保存利用活動は、これまでに議論してきた問題に加え、これらの社会状況に対応することを求められるところから始まります。本報告では20世紀後半の史料保存利用運動の歴史に学びつつ、開催県である長野県の窓を通して、史料保存の「今日的課題」を浮き彫りにしてみたいと思います。
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