内 容 |
あと約2年後に迫った平成16年度末を期限とする「市町村合併特例法」に基づき、財政基盤を強化する目的で全国で市町村合併の準備が進展しています。 わが国では明治、昭和と2度にわたる町村合併が推進され、6万以上もあった町村が約3200となり、平成の合併ではさらに3分の1以上に統合する目標のようです。 過去2回の合併の結果、公文書を保存している市町村は極めて少なくなりました。近代になり自治体の役割が大きくなるに従って、公文書は行政機関の活動記録であるだけでなく、地域の活動記録にもなっているのです。電子自治体の構築が眼前に迫っていることもあわせて、史料保存を担当する専門職員の養成と配置は緊急の問題でもあります。 昨年度の総会席上で全史料協は「市町村合併時における公文書等の保存について」を総務大臣に要請することを決定し、「公文書等の散逸や安易な廃棄を防止」し、公文書の適切な保存を訴え、総務省がこの要請を受け入れて都道府県宛に通知を出しました。史料保存運動の成果であり、この効果的な利用方法を考えるとともに、同じ過ちを3度も繰り返さず、史料保存体制にとっての「向かい風」を「追い風」に逆転する機会とするために、史料保存担当者、行政担当者、歴史研究者、さらに地域住民とともに有効な手だてを考えていきたいと思います。 |