記録遺産を守るために
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会【全史料協】
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 主催者あいさつ        全史料協会長 下林 博孝 氏
 開催に当たりまして、台風14号で被災された福井県をはじめ全国各地の皆様にお見舞いを申し上げますとともに、力強く復興されますことを心より祈念いたします。
 第31回全国歴史資料保存利用機関連絡協議会全国大会を、ここ福井県で開催させて頂くこととなり、全国から多数ご参加くださり、ありがとうございます。「元気な産業、元気な社会、元気な県土、元気な県政」の4つの「福井元気宣言」で代表される福井県との共催及び、自然環境や歴史的遺産にも恵まれ、“不死鳥精神”で戦災・震災・水害等を乗り越えて復興を遂げられ、「住みやすさ全国都市ランキングでは、常に1位、2位」である福井市の後援を得て開催できますことは、私たちにその元気さや不死鳥精神を共有させていただけるということで大変喜んでおり、感謝申し上げます。また、開催に当たり、大会企画・研修研究委員会委員及び福井県文書館をはじめ多くの関係各位に多大なお骨折りを頂き、厚く御礼申し上げます。
 さて、私たちを取り巻く国内情勢として、情報公開法・個人情報保護法への対応、電子文書を視野に入れた文書保存システムの構築、市町村合併時の公文書保存の啓発、指定管理者制度の導入等々の今日的課題があります。また、国際情勢としても、情報交流が促進し諸活動が展開されております。
 こうした情勢を踏まえながら、「会員相互の連絡と提携を図り、研究協議を通じて、歴史資料の保存利用活動の振興に寄与することを目的」としている今回の大会テーマは、「アーカイブズの新時代へ―現場からの提言―」です。これで思い出しますのは、昨年の山口大会で、大濱徹也理事が話されました「地域の貌としてのアーカイブズ」です。地方自治が叫ばれている現在、アーカイブズが記録を管理し共有・継承していくことは、地域を創る上で大切なことです。それぞれの組織が持っている記録を、いかに体系的に保存し、残していくか。そしてそれらから何を読み取り、問い直していくか。さらには、その知的財産を広く人々に情報発信し、新しい明日の地域を創ることにつなげていくことができるか等々が、地域の貌としてのアーカイブズに問われています。
 ご参会の皆様がそれぞれの現場で取り組んでおられることは多様です。各館の設置目的・構成・成り立ちが違うのだから、それぞれ固有のアーカイブズ文化があります。その営みを踏まえながら、何を貌にし得るのか、どれだけ共有しうるのか、そしていかに広く伝えていくのか。そういうことをお互いに出し合って、理解し合いながら、ある共通理解とその知の情報交換をしていただければ幸いです。