記録遺産を守るために
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会【全史料協】
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会長あいさつ
 第32回、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会「全国大会」の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。 
 本年度の大会は、29番目の都道府県立公文書館となる岡山県立記録資料館を昨年の9月に開館されました、ここ岡山県で開催させていただきました。全国から多数の皆様方がご参加くださり、誠にありがとうございます。
 大会の開催にあたりまして、ご多用の中、国立公文書館の高山正也理事にご臨席を賜りました。ありがとうございました。また、地元岡山県の皆様方、並びに、大会企画及び研修・研究委員の皆様方には 多大なご尽力を賜りました。心よりお礼申し上げます。
 さて、全史料協は、皆様方もご存じの通り、既に30年余の歴史を有しています。第30回記念「山口大会」の成果と課題をふまえて開催しました昨年の福井大会は、「アーカイブズの新時代へー現場からの提言ー」を大会のテーマとして掲げ、「新しい時代のアーカイブズ像」を3か年かけて追究するスタートの年となりました。
 特に、この大会で討議されました指定管理者制度導入の問題を始め、電子文書化にともなう文書管理の問題やアーキビスト養成問題など文書館を取り巻く問題は、アーカイブズの現場にいる私たちの努力や対応を超したところの問題として私たちの前に横たわり、攻めの姿勢をとりづらくしています。
 しかし、私自身がここで思い起こしますのは、今年の5月、全国公文書館長会議に先立って開催されました国際公文書館会議(ICA)執行委員による講演です。
 予算的にも人的にも恵まれたとはいえないジュネーブ市立公文書館の、市民の理解を得るための広報戦略や行政文書管理への積極的な関与などの事例、アーカイブズ作成段階からの記録管理と専門職の養成と配置を進めるボツワナの事例など、「新しい時代のアーカイブズのあり方」を模索する私たちにとって、示唆に富み参考となる内容であったと思います。(なお、講演内容は、国立公文書館発行の情報誌『アーカイブズ24号』に掲載されていますので、是非ご覧ください。)
 一方、国内に目を転じますと、明るい動きも見られます。 
 大会直前の11月1日に神奈川県の寒川町で文書館が新たに開館したのを始め、複数の県や市町村におきまして、公文書館設置の動きが具体化しております。また、内閣府に置かれた「公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会」が、いわゆる「中間書庫システム」や「電子媒体による公文書等の管理や保存」についての具体的提言をとりまとめて報告するなど、全史料協の活動や公文書館制度の発展に大きな励みや影響を与える動きが見られ、意を強くしているところです。
 さて、大会テーマ「アーカイブズの新時代へ」の2年目となります本大会は、「理想と現実のはざまで」をサブテーマとして掲げました。日々「現実」のなかで史料の保存と利用の業務に携わっている私たちではありますが、討議や交流をとおして、アーカイブズの将来に対する「理想」を明確にし、共有できることを大いに期待しています。
 最後になりますが、本大会にご参加の皆様方の活発な討議と交流によりまして、この大会を意義あるものとしていただければ幸いです。よろしくお願いします。