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The Japan Society of Archives Institutions Kinki District Branch Bulletin
全史料協近畿部会会報デジタル版
No.72
2021.5.12 ONLINE ISSN 2433-3204

第155回例会報告(関東部会第307回定例研究会との合同部会)

 

2021年(令和3)3月18日(木)
 会場:オンライン開催

例規から見る47都道府県の公文書管理の現状と課題

 本例会は、47都道府県の文書管理に関する例規についての勉強会を主催していた富田三紗子氏が報告をおこない、早川和宏氏(東洋大学)が公文書管理に関わる法令を専門とする立場から、尼崎市立歴史博物館の吉川が基礎自治体のアーカイブズの現場担当としての立場からコメントをおこなったものである。ここでは、報告者及びコメンテーターからの報告概要と参加者からの参加記を掲載する。
         (編集:吉川真理子 近畿部会事務局、尼崎市立歴史博物館“あまがさきアーカイブズ”)

例規から見る47都道府県の文書管理の現状と課題

富田 三紗子(全史料協 関東部会 個人会員)


富田三紗子氏の報告

 本報告は、平成23年(2011)から令和2年(2020)に、国文学研究資料館が主催するアーカイブズ・カレッジの修了生の有志で行った、47都道府県の文書管理関係例規を勉強する例規勉強会で考察したことを報告するものである。報告者は、アーカイブズ・カレッジの修了論文で、自治体の文書管理関係例規と公文書館の関係をまとめた。そのことをきっかけに自治体の文書管理関係例規に関心を持ち、さまざまな自治体の例規を読むことで、日本の地方自治体の公文書管理を学ぶことができるのではないかと考えた。そこで、アーカイブズ・カレッジを修了した同世代に声を掛け、興味を持っていただいた人をメンバーとして、隔月に一回程度のペースで勉強会を開いた。
 勉強会で考察の対象とした文書管理関係例規とは、地方公共団体(地方自治体)が文書(公文書)の作成や収受、保管の方法を定める条例、規則、規程などの例規のことである。これらの例規は、ある程度決まった順番によって定められるなど、自治体が異なっても共通項を見出すことができる。勉強会ではその点に着目し、予め注目する13の項目をフォーマットとして作成した。そして、47都道府県を参加者で分担し、担当する自治体の例規を読んでフォーマットにまとめ、勉強会当日にフォーマットに基づいて報告し、参加者で意見を交換した。
 勉強会を通して最も注目した点は、文書管理関係例規と公文書館(アーカイブズ)との関係である。公文書館として組織のアーカイブズを収集、保管、利用提供する上で、現行の文書管理関係例規で定められている内容の適切性、課題、疑問点などを議論した。具体的には、文書管理関係例規における、いわゆる歴史的公文書(アーカイブズ)の移管や取扱いに関する規定の有無を指標とすることができる。
 47都道府県を通して、現在の文書管理関係例規から見えてきたことは、実際には、歴史的公文書に関する規定の有無が、公文書館の有無と連動していないということであった。つまり、公文書館を設置していない自治体でも、文書管理関係例規に歴史的公文書に関する規定を持つ事例があり、都道府県47件中、44件が歴史的公文書の移管に関する規定を持っている。また、公文書館を有している自治体が、文書管理に高い意識を持っているかと言うと、必ずしもそうではない。ファイリングシステムや電子決裁、文書管理システムの導入、永年保存文書の廃止など、文書管理に力を入れている指標となり得るような管理方法の実施状況は、公文書館の有無にかかわらず、自治体によって多様である。この点は、コメントをいただいた早川氏からも指摘があったが、自治体立のアーカイブズが「古文書館」として認識されている状況を反映しているのかもしれない。
 文書管理関係例規を考察する中で、現在、避けて通れない課題が公文書管理法と公文書管理の条例化に関する問題である。この点も47都道府県を通して考察すると、公文書管理法の規定内容に基づいて公文書管理を条例化するという、単純な状況ではないことがわかった。本報告のため再調査を行った2021年1月から2月現在で、未施行も含めて14件の都県が公文書管理を条例で定めているが、それぞれの自治体でその定め方は多様である。各自治体が公文書管理法の趣旨を検討し、既存の規定から実現可能な条例を策定した様子がうかがえる。また、公文書管理法の趣旨を検討した結果、条例を策定しなかった事例もある。このような事例については、その理由を検証し、条例化に至らなかった事実に注目したい。
 自治体の文書管理は、実に多様である。それは、本来の意味での「自治体」として望ましいことでもある。アーカイブズの立場から考えると、文書管理関係例規で定められている公文書管理の方法が、将来の検証に応えられる方法として適切かという点に注視する必要がある。現状では、公文書は組織のものという考え方が主流であり、その考え方によって例規が作られている。これからも、公文書は住民共有の知的資源という視点で、公文書管理の方法を検討し続けていく必要があるだろう。

報告「例規から見る47都道府県の文書管理の現状と課題」の意義

早川 和宏(東洋大学副学長・法学部教授・弁護士)


早川和宏氏のコメント

 全史料協近畿部会第155回・関東部会第307回の合同で開催された本研究会のテーマは、「合同」の名にふさわしく全都道府県を対象とするものであった。コロナ禍という外圧(?)によってオンライン開催を余儀なくされたという側面があるにせよ、定例研究会の新しいあり方を示したものとして、意義深いといえよう。
 意義深いといえば、富田三紗子氏の報告(以下「富田報告」という。)も意義深いものであった。富田報告については別稿が用意されているので詳細はそちらでご覧いただきたいが、「47都道府県の文書管理関係例規を全部読む」という、愚直かつ地道な研究は、@文書管理に関する都道府県の「今」を明らかにする、A文書管理に関する都道府県の感度を明らかにする、B例規を読めるアーキビストを増やす、といった意義を持っていると考える。

1 文書管理に関する都道府県の「今」を明らかにする
 文書管理規則・規程を含む広い意味での法は、その制定を必要とする事実(立法事実)に基づき定められる。そして、事実が変化することにより、改正されていく。そのため、現在の例規の姿は、幾多の立法事実を経た上での「今」の姿、いわば到達点を示すものである。
 都道府県は、それぞれが置かれている状況が異なるため、それぞれの到達点が異なるのは当然である。都道府県の職員は、自らが属する団体の文書管理関係例規は目にするが、それが全国的にどの程度のレベルにあるかを意識することはあまりないのではあるまいか(井の中の蛙大海を知らず……)。富田報告は、都道府県の文書管理関係例規の「今」を明らかにし、その全国における立ち位置を比較可能な程度まで「見える化」したという意味で、重要な意義を持つといえよう。

2 文書管理に関する都道府県の感度を明らかにする
 先述のように、立法事実の変化によって法は改正されていくはずであるが、その変化に対応できていない文書管理関連例規が見受けられる。都道府県の例規に影響を与える立法事実の1つとして、国レベルでの法令の制定がある。これをどの程度フォローアップできているかは、当該都道府県における文書管理に関する感度を示すと考えることができよう。
 都道府県の文書管理関係例規改正の立法事実たり得る主な法令としては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年5月14日号外法律第42号。以下「行政機関情報公開法」という。)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日号外法律第58号)、公文書等の管理に関する法律(平成21年7月1日号外法律第66号)、特定秘密の保護に関する法律(平成25年12月13日号外法律第108号)等があり、法令ではないものの、令和2年7月7日付総務省通知「地方公共団体における書面規制、押印、対面規制の見直しについて」(総行行第169号・総行経第35号)もこれに含めることができよう。
 これらの法令・通知に都道府県がどの程度対応しているのか、つまり、文書管理の変化に対するアンテナの感度は、当該度道府県の文書管理関係例規を見ることで明らかになる。例えば、制定時の行政機関情報公開法37条1項が「行政機関の長は、この法律の適正かつ円滑な運用に資するため、行政文書を適正に管理するものとする」と定め、41条が「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない」と定めていたことに敏感に反応した地方公共団体は、自らが定める文書管理規則・規程の趣旨・目的に、従来から規定されていた「文書等の適正な管理を図ること」といった内容に加え、「情報公開条例の適正かつ円滑な運用に資するため」といった内容を付加する改正をしている。これは、行政機関情報公開法に対するアンテナの感度が良かったことを示しており、逆に、このような改正をしていない地方公共団体の感度の悪さを白日の下にさらすものともいえよう。
 富田報告では、行政機関情報公開法が施行された平成13年がターニングポイントとなり文書管理規程から文書管理規則への移行が進んだとされているが、これは、文書管理に関する都道府県の感度を明らかにするものであると考えられよう。

3 例規を読めるアーキビストを増やす
 冒頭でも触れたように、富田報告の元となった研究は、「47都道府県の文書管理関係例規を全部読む」という、愚直かつ地道なものである。これは、独創的な発想を要求するものではなく、時間をかけ、汗をかくタイプの研究である。
 いくつかの地方公共団体で、条例案の作成や法務能力研修に関わってきた経験からすると、地方公共団体の職員の中で例規を正しく読める者は意外と少ない。そんな中、富田報告の元となった勉強会の参加者は、例規を読むための基礎体力を身に着けたのではないかと考える。「歴史的に重要なものだから残しましょう」だけではなく、「例規上こうなっているから残しましょう」と言えるアーキビスト、例規の不備に気づいたときに改正を提案できるアーキビストが育ちつつあることを心強く感じる。
 47都道府県の調査を終え、勉強会は一段落したようであるが、この教育的効果を途切れさすのは惜しい。市町村の例規を読む、5年後に都道府県の例規を読み直すなど、様々な勉強会が立ち上がることを期待したい。もちろん、私も時間と体力が許す限り、協力は惜しまない所存である。

報告「例規から見る47都道府県の文書管理の現状と課題」によせて

吉川 真理子(尼崎市立歴史博物館“あまがさきアーカイブズ”)


吉川真理子のコメント

はじめに
 富田氏の主催していた勉強会は、47都道府県すべての文書管理関係例規を読み、各都道府県の特徴や課題を分析し、文書館(アーカイブズ)の視点から考察をおこなうものだった。大変根気のいる作業であり、9年かけてやりきった富田氏の努力には頭が下がるばかりである。筆者は、本例会にコメンテーターとして参加させていただいたが、諸先輩方から勉強させていただく大変有難い機会となった。
 ここでは、尼崎市の取り組みと筆者の所属する尼崎市立歴史博物館史料担当(地域研究史料室“あまがさきアーカイブズ”。以下、あまがさきアーカイブズ)について簡単にご紹介したうえで、富田報告の中で触れられたもののうち、基礎自治体担当者として関心を持っている点について以下に記述する。

1 尼崎市の取り組みとあまがさきアーカイブズについて
 筆者が所属しているあまがさきアーカイブズは、尼崎市の公文書館機能を担っている。あまがさきアーカイブズは、1975年に市史編纂室の後継として組織された地域研究史料館が母体であり、令和2年(2020)10月に尼崎市立歴史博物館に統合された。
 尼崎市では、令和4年(2022)4月の条例施行(予定)に向けて、令和2年度にさまざまなワーキングチームが立ち上がった。公文書館機能を担うあまがさきアーカイブズは、歴史的公文書の利用公開や文書のライフサイクルについて検討するチームの一員となり、他課と協力しながら他自治体調査等をおこなっている。なかでも、昨年度の調査の中心となったのは、文書のライフサイクルと、歴史的公文書の選別及び移管についてである。コロナ禍ということもあり、出張調査は思うようにできなかったが、神奈川県、同県相模原市及び茅ヶ崎市、東京都八王子市、大阪市の各自治体及び京都大学大学文書館には直接足を運び実務担当者等から話を聞くことができた。そのほか、東京都武蔵野市、秋田市、秋田県大仙市、埼玉県戸田市には電話での取材をおこない、群馬県、東京都豊島区、神奈川県藤沢市、神戸市、千葉県市川市等はインターネット上で見られる例規や審議会の会議録等さまざまな資料を閲覧した。

2 文書選別者と選別方法
 富田報告の中で、保存期間を判断する主体とアーカイブズの関与について触れられた際、「移管と廃棄をどのようにしておこなうか、歴史的公文書か否かを判断するのは誰か」との議論があった。本市においても、条例制定後の仕組み作りの中で大変関心を寄せている部分であり、昨年度の調査項目のひとつだった。
 調査を進めていくと、選別・移管の流れには、大きく分けて4類型があることがわかってきた。すなわち、類型(ア)全量を廃棄前に公文書館等に移管し、アーキビストが選別するもの、類型(イ)一次選別を原課がおこない、公文書館等へ移管後にアーキビストが二次選別をおこなうもの、類型(ウ)原課が廃棄を決定した後、廃棄された文書の中からアーキビストが選別をおこない、収集したものを移管文書とするもの、類型(エ)簿冊または文書登録時に、原課とアーキビスト等が協議を行い、歴史的公文書に該当するか否かを決定するものの4つである。
 潤沢な資金があれば、専門性の高い人員とスペースに余裕のある文書館を確保することができるため、類型(ア)(全量を廃棄前に移管し、文書館で全文書を選別する)の手法が可能となる。本類型は、統一的な基準でムラなく必要な文書を残していくことが可能であるというメリットがある。ところが、本市の財政状況と人員体制、保管場所ではほぼ不可能である。
 現在の尼崎市は、類型(ウ)(廃棄文書からアーキビストが選別)を採用している。本類型は、“落ち穂拾い”とも呼ばれる手法であり、原課が「廃棄」と決定した公文書のなかからしか選別することができない。よって、基幹文書が選別対象になりにくい、つまり、重要な公文書ほど“廃棄”公文書リストに上がりにくいという大きなデメリットを抱えている。基幹文書が少ないため、市の基幹施策を想像しうる末節の文書を収集することになる。収集文書が末節のものであると、歴史資料として価値があると判断し保有しているはずの本館所蔵文書の質が落ちるばかりか、不要な文書で多くのスペースを取る羽目になるのである。もちろん、すべてが不要な文書ばかりというわけではないが、現行のままでは満足な仕組みとは到底言えない状態である。
 そのほか、類型(イ)(一次選別を原課がおこない、二次選別をアーキビストがおこなう)のように、全庁的にアーキビストのたまごを育てるような取り組みや、類型(エ)(簿冊または文書発生時に歴史的公文書指定をする)のように、発生時から管理をおこなうものにも、それぞれにメリット・デメリットがある。本市においては、こういった他自治体の調査・分析をさらに深めることによって、現行の仕組みを見直し、新たな仕組みを作っていきたいと考えている。

3 公文書館の権限と認知の問題
 本例会のなかで、富田報告、早川コメント、意見交換すべてにおいて議論にあがったのが、川下であるアーカイブズが川上である原課(文書作成課)に対していかなる働きかけができるかということだった。
 本市においても満足にできているとは言い難く、庁内のアーカイブズやアーキビストへの認知と理解は十分ではない。だが、まずは公文書館やアーキビストの仕事とその位置付けを全庁的に認知してもらうことが必要だと考え、これまで長年にわたってコツコツとさまざまな取り組みをおこなってきた。
 あまがさきアーカイブズがもっとも力を入れているのが、レファレンス対応である。庁内から(庁内外問わずだが)問合せがあれば、丁寧かつ親身に対応し、過去の重要な公文書等がきちんと管理・保存されていることの意義を実感してもらうのである。また、例年おこなわれる廃棄公文書選別の際にも、簿冊の内容等について不明な点があれば積極的に原課へ電話をかけてコミュニケーションをとることで、公文書館(機能)の仕事について理解してもらう。こういった営業活動は、長年地道に続けることが大切であり、条例施行後も引き続き進めていくものである。そのほか、文書管理研修への出講はもちろん、地域課と連携した歴史講座やイベント等にも積極的に協力し、庁内外のさまざまな人と関わりを持つことを心がけている。こういった日々の仕事を積極的かつ丁寧におこなうことこそが、アーカイブズ側ができる適切な文書管理への働きかけの第一歩だと信じて取り組み続けている。

むすびにかえて
 アーカイブズとして、すでに記したような川上への営業活動を続けつつ、予算獲得・人員確保等のたゆまぬ努力をし続けたとしても、残念ながら現段階では数年のうちに人員と予算が潤沢に与えられるとは考えにくい。限られた人員と予算のなかで、工夫しつつ適切な文書管理の道を探るには、横のつながり、すなわち他自治体との情報共有や連携が欠かせないように思う。その点においても、富田氏がおこなった47都道府県の文書管理関係例規の網羅的な調査は大変有意義であり、できることなら基礎自治体なども巻き込む形でこれからも存続と発展を続けてほしいと願っている。

参加記

例会参加記:「例規から見る47都道府県の公文書管理の現状と課題」を踏まえ

古賀 崇(天理大学人間学部)

 まず、新型コロナウイルス感染症の収束が未だ見えづらい困難な状況の中、本例会でのご報告ないしコメントの務めを果たしていただいた、富田、早川、吉川の各氏、および、オンラインでの例会開催を滞りなく進行いただいた、ご担当の各位に、あつく御礼申し上げたい。以下、筆者なりに要点を絞り、本例会に参加しての私見を述べたい。
 さて、富田氏が本例会でのご報告の中で強調されていたポイントのひとつに、「47都道府県の文書管理関連例規の大半において、文書の保存期間を判断する主体は、その作成者である主務課となっている。こうした規定のもとで、文書管理を担当する課や首長、さらにはアーカイブズ・公文書館等がどの程度関与できているか、の検証が必要である」という点がある。これに対し、早川氏は各都道府県さらには各自治体における関連例規と実態との乖離の程度、具体的には各自治体(主務課)職員の間での例規の認知度や遵守率、および、例規を遵守させるための取り組み(研修だけでは決して十分とは言えない)を検証する必要性を、コメントとして示された。また、吉川氏はご自身の勤務先である尼崎市での公文書管理条例制定の準備ほか、関連例規を見直す業務とも照らし合わせ、国内の自治体等の事例から「文書の選別・移管の4類型」を提示された(この4類型については、パワーポイントでの図示が理解しやすかった)。その上で、公文書館等への移管を前提に、文書の保存期間や整理状況を原課レベルで改善していくための、公文書館やアーキビストなどの関与のあり方について提言された。まとめると、本例会にバーチャルな形で「登壇」されたお三方とも、「川下」=アーカイブズ・公文書館等への文書の移管、特に意思決定過程などの基幹文書の移管をスムーズに進めるために、「川上」=原課や文書管理担当課などに「川下」から効果的に働きかける必要性を強調された。
 こうした点は、まさにアーカイブズの専門組織である全史料協が、組織的に取り組み、また各自治体等に向けて提言すべき事柄と言える。この点で筆者として気になるのは、近年の国および自治体の行政活動が、「デジタル庁」設立への動きを含め、デジタル化への動きを一層加速させていることである。これは「脱ハンコ」にとどまらず、「行政DX(デジタルトランスフォーメーション)」の名のもとで、「ムダの排除」「行政・住民・事業者それぞれにとっての効率性かつ柔軟性」を追求する動きと言える。紙の文書・電子の文書(または電子情報)が別々の規程のもとに置かれているか否か、も、富田氏によるご報告の論点のひとつにあがったが、「行政DX」のもとで、電子的なものも含めた文書・記録や情報が、行政活動を検証する素材としてどれだけ信頼に足るか、また、これらが「住民共有の知的資源」となるかどうか。本例会で強調された「川下から川上への働きかけ」は、こうした現状のもとで取り組む必要がある、と考える。本例会での早川氏のコメントは、「文書管理に係る例規は、必要に応じて、あるいは情報公開法ほか重要な法律の制定や改正に応じて、改変される」という点から始まったが、上述の「行政DX」への動きが、文書管理関連の例規および実務を、住民・国民に真に寄与する形で改善する機会となるよう、全史料協ほか関係各位の効果的な取り組みに期待したい。筆者も可能な限り、この点に資する活動に努める所存である(手前味噌ながら、今春刊行の共著書『アーカイブズとアーキビスト』(大阪大学出版会)もご参照いただければ幸いである)。

全史料恊近畿部会第155回例会(関東部会第307回定例研究会合同部会)参加記

宮田 克成(三豊市文書館)

 慣れないリモート例会のためか、はたまた現用文書管理担当、情報政策担当の職員と3人で1つの画面を見ながら聞いていたためか、あまり頭に入らなかったというのが例会全体の正直な感想である。そのような状態ではあるが、何とか参加記の責を果たしたい。
 まず富田報告については、全国の公文書管理に関する例規について概観することができたのが、最大の成果のように思う。ただ今回の報告の意図するところとは異なるかもしれないが、個人的には各項目についてもう少し詳細な説明がほしかった。項目9(文書の保管)では電子文書の保管や管理委任について、項目10(文書の保存期間)では保存期間中の廃棄については、筆者の関心のある内容でもあるので、もう少し細かな説明を聞きたかったところである。47都道府県全体を概観することを目的としていたため、無理な注文であるかもしれないが、もう少しメリハリがあっても良かったように思う。
 早川コメントについては、富田報告へのコメントという形を採っているが、これからの文書管理を考えるうえでの多くの課題が指摘されていたように思う。例えば「1.勉強会の意義」で指摘された個人情報保護条例が一本化される問題が公文書管理例規にどのような変化をもたらすかなどは、喫緊の懸案事項で注目していかなければならない問題と考える。また公文書管理法が公文書館法に影響を与えていないことなどは、筆者にとっては目からウロコ的な指摘であった。むしろ公文書管理法の誕生が公文書館法の存在を曖昧なものにしていると言えるかもしれない。また「3.富田報告から見えなかったこと」で指摘されている紙媒体と電子媒体の関係も喫緊の課題であろう。すでに電子決裁システムを導入している自治体ではborn digitalの文書もそれなりに存在しており、紙媒体・電子媒体併用というところが多くなっていると思われる。そのような自治体では媒体の違いに関係なく、同じ例規のなかで文書を管理していく必要があると考える。また最近ブームになりつつある職場のフリーアドレス化も文書の電子化を加速させると考えられる。フリーアドレス化はすなわち執務室をなくすことであり、これまでのように執務室で文書を保管することを不可能にする。その対応策として、文書の電子化が考えられるのである。このように文書の電子化の波は避けられない状況となっており、文書の電子化に対する対応が公文書管理の緊急かつ最大の課題の1つであると考える。筆者の関心に偏った指摘になってしまったが、早川コメントはこれからの文書管理を考えるうえでも示唆的な内容であったと思う。
 吉川コメントについては、選別・移管について類型化され、メリットとデメリットを整理されていた点が大いに参考になった。しかし一方であまがさきアーカイブズの課題となっている選別・移管に特化した内容になっていたのが残念に思う。尼崎市を事例にもう少し公文書管理の全体的な話を聞きたかったと思う。
 全体を通して、大いに参考になり、示唆に富む内容の報告・コメントではあったが、正直筆者にとっては、少し物足りない内容であった。その最大の要因はあまりにもアーカイブズの視点に偏っていた点であると思う。全史料恊という会の性格や富田報告のベースとなった勉強会の性格を考えると止むを得ないのかもしれない。しかしもう少し公文書管理例規そのものの課題を追及してもらいたかったし、そのような内容を期待していた。それが筆者にとっては、富田報告に関して筆者が詳しい説明を求めた部分とリンクしてくるように思う。公文書館への文書の移管をスムーズに行うためにも、文書管理が重要であることに議論の余地はないと思う。だからこそ公文書管理全体の問題に対しもっと敏感であり、その問題にアーカイブズの立場から助言していくようなことが必要なように思う。

「例規から見る47都道府県の文書管理の現状と課題」参加記

齋藤 柳子(記録の森研究所)

1 概要
 報告者の富田三紗子氏は、2006年、国文学研究資料館のアーカイブズカレッジを修了し、修了論文の報告を行った。その後、歴史系大学院修了者で同世代のカレッジ修了者と共に、47都道府県の文書管理の例規に精通するため、2011年、公文書管理法施行後より勉強会を開始した。はじめ文書管理関係の例規を読み合わせ、公文書の概念や運用体制、保管方法を定めたルールを詳細に分析した。ルールには例規としての条例、規則、規定、要綱、要領などが含まれる。
 その時、現用文書の管理と公文書館におけるアーカイブズの関係を明らかにする方法として公文書館機能が例規に含まれているか一覧表にまとめ、各都道府県を比較できるようにして課題を整理した。調査方法は、47都道府県のウェブサイトで公開されている例規集の読み込みである。類似する調査は、1996年に刊行された『記録史料の管理と文書館(1) 』第7章で元東京都公文書館の水口政次氏により「都道府県における文書保存・利用の現状と課題」として発表されている。1996年から2011年に至る15年間における大きな変化は、なんといっても情報公開法と公文書管理法の施行と電子文書の存在である。
 勉強会は2011年より隔月で集まり、1回につき2〜3都道府県の例規の調査報告をする予定で進めたが、途中、業務多忙で中断した時期もあり、今回の発表に至るまでに約9年間かかったという。2020年2月の最終回には、勉強会の内容に関心を持った早川和宏氏も参加した。さらにコロナ禍もあり発表の場がなく、2021年3月18日、この度のオンラインによる定例研究会(関東部会、近畿部会合同)で公表することができた。地道に調査を継続し、今回の発表に至った努力に敬意を表したい。

2 発表内容
2−1 富田三紗子氏の発表内容
 自治体の外側からは条例の遵守状況は見えにくい。この勉強会で遵守要素の切り口として文書管理関係例規、文書の定義、文書管理担当課、組織内における例規の効力、管理の方法、文書の保管状況、文書の保存期間、歴史的文書の保管、特徴的な例、公文書管理の条例化の現状について調査・分析した。

2−2 47都道府県の文書管理の現状調査結果(含 早川和宏氏のコメント1)
 以下、富田氏の詳細な調査内容と早川氏のコメントから主な点を抜粋してみたい。まず公文書館の有無による例規の変化は特にみられず、公文書館法は公文書管理法の制定に伴う改正は見られないことがわかった。つまり非現用機関(公文書館)から現用機関(原課)への働きかけが十分でないことや、働きかけに関心をもってもらえなかったことの証左か、と早川氏は推測する。そこで例規の強化が必要となるが、発令形式を富田氏らは調べ、条例と規則とは拘束力が大きく異なることを指摘した。条例とは、地方自治法の規定により制定・改廃の議決は議会で決定され、行政委員会も規律対象に含むことができる自治体の最高法規である。一方、規則とは単に組織内のルールであり、当該組織内でしか効力を持たない。文書管理例規の発令形式として条例を制定しているのは、14都道府県(山形、群馬、東京、新潟、長野、三重、滋賀、兵庫、鳥取、島根、香川、愛媛、高知、熊本)である。
 条例制定に至る前にさかのぼった1960年代では、庶務規程の一部に文書管理が含まれていたが、事務量の増大で文書管理規程と定められ進展してきた経緯があるらしい。その後、情報公開法の施行が文書管理規則制定の転機となった。「地方公共団体においては、情報公開条例に文書の適正管理についての概括的根拠規定を設け、それを受けて規則又は規程により、詳細な文書管理を定めるのが一般的である。(2)」平成12(2000)年2月25日各省庁事務連絡会議申合せ「行政文書の管理方策に関するガイドラインについて」に、各自治体は敏感に反応し(3)、「自治事務としての公文書管理がバラバラであるものの、さらに公文書管理法を気にしている例が多く(4)」見られる。
 条例⇒規則⇒規程という関係性はより複雑になっているが、自治体において公文書管理を徹底するために、条例制定への意識は高い。条例制定により、文書管理主管課の権限の地盤固めができるし、職員の遵守度合も高まるからである。
 文書の定義として公文書とは、国や地方公共団体の機関または公務員が、その職務上作成または取得し、組織的に用いるものとして保有している文書である。もし組織的管理である文書が個人管理文書として存在した場合、情報公開の際に隠れ蓑になりやすいのであるが、静岡では個人管理文書を規程で定義しており、逆に明確に定義することによって、個人管理文書は情報公開の対象にはならないのである(5)。また、秘密文書に関する規定は、栃木、東京(6)、岐阜で定められている。
 今日、電子文書が多く使われ保存されているが、電子文書を公文書としているか勉強会でも特記事項になった。紙と電子の管理方法が異なることが多いことから、それらをデータとして扱うかで「電子文書と電子情報」、「電子文書と電子公文書」、または「電磁的記録」等と表現が分かれている。2018年に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」が施行されたが、大阪と佐賀は、文書管理を定める例規以外に、電子メールの取扱いを定める例規(7)を持っているし、福井(8)と東京(9)も定めている。文書管理に係る例規は、時代の要請に応じて公文書館法、情報公開法、公文書管理法、個人情報保護法、特定秘密保護法、最近では「地方公共団体における押印見直しマニュアル(10)(内閣府)」などでも改変の要素が生まれる。
 2020年に東京都は「東京デジタルファースト条例(11)」を定め、情報通信技術を活用した行政の推進により従来の文書管理の革新を図ってきている。さらに近年、スマートフォンの普及とともに、地域住民への様々な情報の発信や行政サービス提供の広報発信は、一部でLINE公式アカウントを活用する地方公共団体が増えてきている。しかし、LINEの一部情報が中国の委託業者で扱われていたことにより、武田総務相は2021年3月19日、総務省がLINEで提供する採用情報など一部の情報発信について「運用を停止する予定」だと明かした(12)。総務省では、LINEを行政サービスに利用している全ての自治体に対し、3月26日までに利用状況を調査・報告するよう依頼した。LINE利用の行政サービスについて止めるか続けるか、総務省と各自治体で分かれる対応が見られる。住民の個人情報に関して安全性が担保されているか確認し、利用の措置を継続するかどうか、現在、検討の段階で、規程の中にSNSを織り込むには至っていない。しかし将来的に公文書館へそれらの内容を含む電子データが移管されてくるだろう(13)。早川氏は「規程は時代の進展に合わせ見直し、運用されていかなければならない。文書管理に係る例規の改変は、自治体の問題意識(アンテナ)の高さ、または低さ/無関心のバロメータになり得る。」と述べている。

2−3 47都道府県の文書管理の現状調査結果(含 吉川真理子氏のコメント2)
 運用に関しては、吉川氏の発表内容が具体的に参考となった。吉川氏が所属している尼崎市立歴史博物館地域研究資料室“あまがさきアーカイブズ”は基礎自治体の公文書館機能を持ち、2022年4月に尼崎市公文書管理条例を施行予定という、まさに躍動的な動きの最中にあるアーカイブズである。
 富田氏の調査から文書の保管方法は、一定の期間が経過すると集中管理としているのは37県(78%)、それ以外の10県は集中分散管理であると報告されている。文書作成から一定期間が経過したものは、文書管理主管課による集中管理を原則とし、一定期間経過後は自動的に書庫へ引き継がれている(例:10年以上保存文書について6年目以降は集中管理)。レアケースとして、現用文書としての保存期間であっても、公文書館で管理する「中間書庫」機能を持つ自治体(神奈川)がある。この仕組みが称賛される理由として、原課から基幹文書(原課の主たる業務に関する歴史的公文書として保存すべき文書)が、なかなか公文書館に移管されて来ない状況の中、公文書館員は長年苦慮し、改善の努力をしてきたからである。
 そこで、尼崎市の歴史的公文書ワーキングチームは、文書の選別・移管を抜本的に見直し、原課から基幹文書が移管されるよう改善しようと、移管と廃棄の決定をどのように行うか、誰がそれを判断するのかについて強い問題意識を持ち、大学文書館も含めた様々な公文書館について選別・移管の類型を分析し、以下の4つのパターンを報告している。
 ア)全量廃棄前移管・文書館にて選別(神奈川県、京都大学大学文書館
 ⇒誤廃棄は防げるがマンパワーと中間書庫が必要。一方的な収集となり、原課担当者の   文書管理に関する意識づけには適さない。
 イ)一次選別は原課で、移管後二次選別は公文書館が実施(武蔵野市)
 ⇒原課で一次選別を行うことにより、二次選別の効率化につながる。
  選別基準やガイドラインを用意する必要がある。「不要」とする基準が求められる。
  公文書館と原課のコミュニケーションが大切である。
 ウ)原課が廃棄決定後、文書館で選別=落穂ひろい(現行の尼崎市、基礎自治体多数)
 ⇒誤廃棄の最終確認は廃棄票でできるが、文書の全体像が不明で根幹となる文書が出て   こない。歴史的公文書への理解が進まない。
 エ)簿冊(文書)発生時に選別=簿冊ごとに歴史的公文書を設定(大阪市、相模原市、八    王子市)
 ⇒簿冊(文書)発生時に検討するので、管理しやすい。
  当初想定されていた文書が乖離している場合があり二次選別が必要。廃棄前に審議会   に伺いをたてる場合もある。
 尼崎市では、これらの類型を分析しつつ、どのパターンで行くか検討を重ねている。公文書館、及びアーキビストの役割について職員に対し説明し、公文書館への移管に協力してもらえるよう研修を実施している。原課に文書引継ぎの重要性を理解してもらうため、庁内レファレンスには丁寧に対応し、原課との関係強化を図っている。定期的に原課と関わる機会を設け、「尼崎市の情報資産となる文書とは何か」について説明し、選別収集の意義普及の努力をしている。さらに平成25年以降、人材確保手段として、アーキビストは専門職であるとして、そのための採用試験を実施している。
 
3 まとめ
 富田氏の説明資料の中に「公文書館の有無/自治体史の編さん担当の有無/文書管理関係例規/文書の定義/文書管理担当課(主管課)/組織内における例規の効力(首長部局と行政委員会(14)との関係)/管理方法(ABC区分(15))/文書保管方法(ファイリングシステム・簿冊)/文書管理システムの有無/文書保存期間の種類/歴史的公文書(引継や移管規定の有無)/備考/例規集リンク先」についてまとめた表がある。「参考資料」として公表されたが、これは大いに有用である。早川氏の説明に「文書管理に係る例規は、時代の必要に応じて将来的に時代の進展に合わせ見直し、運用されていかなければならない」とあった。この表が全史料協のウェブサイトにアップされ、それがcsv.でダウンロードできれば、47都道府県の文書管理の例規や実態概要の変化を担当館が都度、エクセルに変換し修正されたデータをアップデートするよう、全史料協の事務局へ知らせることができる。この情報修正手法は、英国国立公文書館(TNA)において、ウェブサイトで掲載されている内容の誤りを見つけた際に修正の知らせを受け付ける“Found an error”(16)という仕組みが参考になる。今回は「誤り」ではなく最新情報への「アップデート」であるが、公開されるウェブ情報は常に最新情報で参照できるように維持したいものである。
 デジタル庁発足後の5〜10年後、急速に進化すると思われる公文書のデジタル化に対応して、条例内容の見直しや文書管理の状況変化に即した変革が各自治体で行われるものと予想されるので、今後、参考データとしてアクセスできるよう準備しておいていただきたい。早川氏は「点数化され、ランキング(=番付表)」(17)も示したほうが文書管理関係例規改善の動機付けになり得るというが、例規だけでなく、文書管理の実態調査をして評価をする体制も必要であろう。紙文書の時代でなくなった場合、サーバや文書保存のクラウド内における電子記録管理の実態の検証となる。そこでは「電子中間書庫」にアクセスすることになるのであるが、ヒントとしてマイケル・ローパーが1987年に示した「記録のライフサイクル分析構造図」(18)の半現用文書記録センターの電子版を考えればいいのである。そこでは、或る程度以上の情報量になると電子上、目で追うことは困難になり、AIによる検索システムに移行するだろう。その時各自治体とも、統制がとれた文書管理体系の仕組みと目録記載のタグ付け、標準化が求められる。アーカイブズ側も半現用電子文書のアクセス権を取得して、評価選別を移管前に行える一方法となるかもしれない。
 (註)
  (1)安藤正人、青山英幸『記録史料の管理と文書館』北海道大学図書刊行会、1996.2
  (2)宇賀克也「地方公共団体の公文書管理」国際文化研修2011春 vol. 71、p.6
     https://www.jiam.jp/journal/pdf/v71/tokushuu1.pdf
  (3)行政機関の保有する情報の公開に関する法律
    (行政文書の管理) 第三十七条第二項 行政機関の長は、政令で定めるところにより行政文書の
     管理に関する定めを設けるとともに、これを一般に閲覧に供しなければならない。(中略)
    (地方公共団体の情報公開)第四十一条 地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有
     する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。
     https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/h145042.htm
  (4)早川和宏「例規から見る47都道府県の文書管理の現状と課題 コメント1」p.1(配布資料)
  (5)個人管理文書は静岡県のみが規定している。
     静岡県文書管理規程
     (個人管理文書の管理方法)
     第67条 個人管理文書は、次に定めるところにより、公文書と明確に区分して管理しなけれ
     ばならない。
     (1) 公文書と同一のケースファイル等に収納しないこと。
     (2) 電磁的記録にあっては、同一のフレキシブルディスク等に収録しないこと。
     2 個人管理文書は、ケースファイル等に収納する場合は当該ケースファイル等に、フレキ
       シブルディスク等に収録する場合は当該フレキシブルディスクのラベル等に、個人名を
       明記すること等により、公文書と明確に区分して管理しなければならない。
  (6)東京都文書管理規則(秘密文書の指定等)
     第五十七条 主務課長は、その所管する課の文書等について秘密の取扱いをする必要があると認
     める場合は、当該文書等を秘密の取扱いを必要とする文書等(以下「秘密文書」という。)とし
     て、指定するものとする。
  (7)大阪市情報公開条例 電子メールの取扱いについて(第3項関係)「公文書に該当する電子メー
     ルの範囲」
     https://www.city.osaka.lg.jp/somu/cmsfiles/contents/0000200/200154/2-4.pdf
  (8)福井県文書規程 (電磁的記録の受信)
     第17条の2 所属長は、文書取扱主任に受信した電磁的記録(電子メール、これに類するもの
     を含む。)のアカウント(利用者を識別するための符号をいう。)で所属が管理するものに宛
     てられたものに限る。以下「受信電磁的記録」という。)の確認を1日に1回以上させなけれ
     ばならない。
  (9)東京都文書管理規則 (電磁的記録の受信等)
     第十二条の二 電磁的記録の受信は、通信回線に接続した情報処理システム(以下単に「情報処
     理システム」という。)を利用して行うものとする。ただし、当該電磁的記録が東京デジタル
     ファースト条例(平成十六年東京都条例第百四十七号)第六条第一項に規定する方法により行わ
     れた申請等に係るものであるときは、同項に規定する電子情報処理組織を利用して行うものと
     する。
     https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00000187.html
     ⇒富田報告には東京都は記載されていないが、筆者が追記した。
  (10)内閣府「地方公共団体における押印見直しマニュアル」令和2年 12 月 18 日
     https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/document/manual/201218manual_ver01.pdf
  (11)東京デジタルファースト条例〔東京都行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条
     例〕を公布する。
     https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00003466.html?id=j6_k1
     第一条 この条例は、都民及び事業者があらゆる活動において先端的な技術をはじめとする情報
     通信技術の便益を享受できる社会が実現されるよう、デジタルファーストを旨とした情報通信技
     術を活用した行政の推進について、その基本原則及び情報システムの整備、情報通信技術の利用
     のための能力又は利用の機会における格差の是正その他の情報通信技術を利用する方法により手
     続等を行うために必要となる事項を定めることにより、手続等に係る関係者の利便性の向上、行
     政運営の簡素化及び効率化並びに社会経済活動の更なる円滑化を図り、もって都民生活の向上及
     び都民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
  (12)武田総務大臣閣議後記者会見の概要 令和3年3月19日
     https://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/01koho01_02001004.html
  (13)早川氏のコメント1には含まれていないが、筆者の追記である。
  (14)行政委員会とは、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、公安委員会(都道府県のみ)
     など
  (15)集中管理(A)、分散管理(B)、集中分散管理(C)
  (16)Have you found an error with this catalogue description? Let us know.
     https://discovery.nationalarchives.gov.uk/details/record?catid=2515794&catln=6
  (17)早川氏の提案 「例規から見る47都道府県の文書管理の現状と課題 コメント1」p.2(配布
     資料)
  (18)「記録のライフサイクル分析構造図」, 第1回文書館振興国際会議報告集, 全史料協, 1987,
     前出注1,第7章, p.332
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