記録遺産を守るために 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会【全史料協】

平成13年度 資料保存委員会


(旧防災委員会が平成13年度より改組されました)




資料保存研修会


文書館防災の手引き





[会議報告]
◇平成13年度第1回委員会
日 時 2001(平成13)年6月2日(土)午後2時〜午後5時
場 所 松本市文書館(長野県松木市和田1058-2)
出席者 委員全4名 小松芳郎、青木畦、伊藤然、大西愛
事務局 1名 福島紀子

報告事項
1 全史料協第1回役員会(5月25日東京都公文書館で開催)の報告

1 昨年度事業のビテオについて

審議事項及び結果
(1)資料保存に関係した冊子の作成について
 年間計画としてできる範囲で考えてはどうか。 施設の保存対策の例、調査事例などをいくつか盛り込みながら、次の段階として冊子の作成に取り組んでよいのでは。
 保存環境をめぐるテータベースの紹介、現場での工夫の事例などを『記録と史料』でおこなったアンケートのように 問いかけてみてはどうか。
 2〜4回の講座の内容とディスカッションを2部仕立てで紹介してはどうか。

(2)会議のもちかた
 資料保存委員会を基盤として保存をめぐる諸問題を検討する講座をおこなってはどうか。
 資料保存をめぐる諸問題の情報交換や、問題点の検討、情報を共有するための講座をおこなって、 委員会として今後どのような取り組みをおこなうべきかを検討する素材としたい。そのためには1年間は準備期間とし、 意見交換と事例報告をおこなってはどうか。
 施設での保存だけでなく、大多数の関係者が抱えている問題と それ以外の課題へのアプローチという位置づけが必要である。冊子の編集とリンクさせて、 タイムスケジュールを作って検討してみてはどうか。
 委員会として何をやるべきか。 資料保存委員会の基礎固めの必要がある。ほかの学界へも声をかける(美術館・博物館・図書館など)。

(3)資料保存委員会主導でおこなう自治体史編纂の現状把握とその後の資料実態の悉皆調査について
 今後の市町村合併の中で危慎される史料の散逸と消火についての対策を検討する必要があり、 全史料協総務委員会と資料保存委員会で役割分担をしながら対応していくことが、 この5月25日の全史料協役員会で了承された。
 資料保存委員会では、各県の教育委員会や県立文書館を最初の窓口としながら、 各県の自治体における自治体史編纂の動向を把握し、結果の報告を集約してから対策を検討する。
 市町村含併と資料保存問題についての対策は、地方史研究協議会・日本学術会議等へ声明として発表してはどうか。 会長名で出したほうがよいのではないか。
 情報公開にともなう資料保存についても、 箱ものができていなくても保存はできること、文書館的機能を整える必要があるということを訴えていく。

(4)研修会の実施について
 鳥取の日野町で近畿部会に呼びかけて行う方向で検討していってよいか。

(5)その他
 次回の資料保存委員会(8月25日開催予定)で、委員全員出席のもとで、それぞれの案件について、 さらに具体的に協議することとしたい。

[報告]
5月25日の役員会で報告したものです。

1 防災委員会から改組された資料保存委員会への意見、要望について
 平成12年12月5日に、全史料協会員宛(機関、個人)に、改組された資料保存委員会への要望、 意見を寄せていただくよう、防災委員長名で、通知を発送しました。
 寄せられた意見、 要望の要旨はつぎのとおりです。

1 最新の研究成果を反映した保存修復に関する研修会を随時開確してほしい。
1 詳細な資料の保存修復マニュアルを編集刊行してほしい。
1 資料の防災(保存)に関する全国的なネットワークの構築を検討してほしい。
1 防災にかぎらず、広く日常業務や保存中の文書の保存修復技術を研究し、成果を示してほしい。
1 防災・保存等に関する研修会に、必要があれば、適宜、現場視察等もいれてほしい。
1 全史料協の活動だけに完結することなく、外部の類縁団体等との連携・協力を意識していってほしい。 行政文書の保存問題については文書館的機関が中心になるが、それ以外の文書資料については、 「文書館」の枠組みを超えた取り組みとなろう。
1 電子記録の保存問題について、勉強会などをおこない、 国内における動向や現状把握につとめる時期にきている。
1 全史料協の組織としての活動記録の保存や整理・管理についても発言していってほしい。

2 災害情報の集積と情報提供について
(1)史料保存機関における災害情報の提供
 平成12年6月15日に、全史料協会員宛(機関、個人)に、「史料保存機関における災害情報の提供について(依頼)」 の通知を、防災委員長名で発送しました。下記(2)(3)の地震による被災情報以外、 被災情報はとくには寄せられていません。

(2)鳥取県西部地震による資料の被災
 平成12年10月11日に、烏取県西部地震被災地の全史料協会員宛(機関、個人)に、 「鳥取県西部地震の被災の状況について(問い含わせ)」の通知を、防災委員長名で発送しました。 寄せられたおもな情報は、つぎのとおりです。
・とくに被害はありませんでした(鳥取県立公文書館長、平成12年10月16日)。
・一部の資料等が棚から落下する程度で、庁舎内外共に被害はありませんでした。 被災地域の情報提供を依頼した関係機関からは、現在までに情報は寄せられていません (岡山県総務部総務学事課文書整備班、同年10月17日)。
・礼状(烏取県知事、同年12月)。
 なお、史料ネット、山陰史料ネットからの
ダイジェスト情報を、インターネットによって、日々得ています。

(3)芸予地震による資料の被災
 平成13年3月28日に、芸予地震被災地の全史料協会員宛(機関、個人)に、 「芸予地震の被災の状況について(問い含わせ)」の通知を、防災委員長名で発送しました。
寄せられたおもな情報は、つぎのとおりで
す(要旨)。
・資料館の物品は被害はないようですが、展ホケースがわずかこわれました(広島県内の個人会員、4月1日)。
・幸い文書館は被害ありません。県内の歴史資料保存機関では、岩国市内の関係施設の土蔵倉庫に損傷があったようですが、 救護活動がいるほどではありませんでした(山口県文書館、4月2日)。
・所蔵庫の棚から文書のはいった箱がひとつおちた程度で、被害はありませんでした。 県内の所蔵者や市町村と連絡をとりましたが、被害の報告を受けていません。 ただし、呉市の旧家の蔵が破損したため、文書館職員も協力して、文書の現状記録、 移動の作業をおこなっています(広島県立文書館、4月20日)。



◇平成13年度第2回委員会
・日 時 2001(平成13)年8月25日(土)午後2時〜午後5時
・場 所 国際資料研究所(東京都世田谷区三軒茶屋1-32-4佐々木ビル102)
・出席者 委員全6名小松芳郎、青木睦、伊藤然、大西愛、小川千代子、小川雄二郎
     事務局1名 福島紀子

・報告事項
(1)会議報告
第4回防災委員会(3月27日)について
  第1回資料保存委員会(6月2日)について

(2)「歴史資料の保存状況についての都道府県別調査依頼」の全会員への周知

(3) 全国図書館大会資料保存分科会案内の全史料協会員への周知

(4)防災ビデオについて

・審議事項及び結果
(1)「歴史資料の保存状況について」の県別調査依頼
  ・都道府県レベルの調査の後に、市町村への呼びかけを予定しているが、 今回の調査結果について、都道府県へ調査結果の情報を報告していきたい。
  ・結果報告のまとめ方は、今後検討し工夫していく。

(2)市町村合併にともなう史料保存について
  ・これからの市町村合併にともなう史料の散逸の危険性に、どのように対処していったらよいのか。 合併問題時の資料保存について、全史料協として、会長名でアピールしていくことが必要ではないか。
  ・次回(9月28日)の全史料協の役員会までに、資料保存委員会としての方針を、文案を作成して示し、 検討してもらうことにしたい。
  ・その文案のなかで、昭和28年以降の合併時の教訓をふまえ、また、 公文書の散逸について日本学術会議からの要望書などを参照し、委員会事務局で文案を作成し、 各委員に諮ったうえで、役員会に提案する。宛先は、全国市長会、全国町村町会、都道府県知事に宛ててはどうか。 
  ・今後は、歴史資料としての重要性から、日本学術会議からもアピールを出すよう働きかけていく。

(3)資料保存の理念を求めて
・文書館以外の民間で管理されている史料の保存について、 残すべきものの保存方法などについて提言できるような委員会としての位置づけが必要であり、 範囲を広げすぎない方がよい。
  ・全史料協内部の部会・委員会などの記録保存についても検討する必要がある。
  ・理念的な史料保存の問題は全史料協全体として考えるべき事なので、 物理的な史料保存についての位置づけが必要なのではないか。
  ・保存史料のどこに力点を置くのかといった問題も含めて、史料の保存方法・取り扱いなどを具体化して、 将来的に検討していく必要がある。
  ・今年度の全国大会に向けて、資料保存委員会の方向性を、 会報誌上で紹介する。

(4)資料保存研修会の開催について
  ・物理的な保存を主軸として、紙史料を確実に保存することを中心に検討したい。    
  ・委員長が9月16日の烏取県日野町の研究会に参加し、研修会の今後の方向性を探りたい。
  ・開催は1月下旬を目途にしたい。

(5)防災ビデオの取扱について
 ・3本で1時問30分のもの、1本で40分に短縮したもの、1本で20分にまとめたものがあるので、 利用法をアピールして貸し出しをして、会員の方に使ってもらってはどうか。

[報告]
1、歴史資料の保存状況についての調査依頼について
 自治体史編纂時における史料調査によって、多くの史料保存の情報が集積されてきています。 資料保存委員会では、これらの史料保存情報を窓口にして、自治体史編纂時、 あるいは編纂後の史料保存を考えていくために、全国の自治体史編纂の状況をまず把握し、 そのうえで、史料保存のありかたを考え、呼びかけ、ともに考えていくことにしました。
 そこで、都道府県宛に、平成13年8月7日付で、市町村史編纂の状況について調査していただくように、 依頼しました。
 9月末現在で、33都府県から返事をいただいています。

2、史料の被災情報の集積と情報提供について
 資料保存委員会では、昨年度に引き続いて、史料被災についての情報を集めています。 7月以降に委員会に寄せられた被災情報は、つぎの1件です。
(1) 群馬大学工学部図書館の図書が被災
台風11号の豪雨の影響で、8月23日に、群馬大学工学部図書館の7000冊の図書が、水に濡れてしまいました。 屋上にたまっていた水が、階段を伝わって3階の床にたまり、2階の図書館の書架に垂れて、 図書が水浸しになってしまったということです。
  乾燥させる場所の確保の問題などを抱えています。



◇平成13年度第3回委員会

日 時 2001(平成13)年12月15日(土)午後1時〜午後5時
場 所 国際資料研究所(束京都世田谷区三軒茶屋1-32-4佐々木ビル102)出席者委員全5名小松芳郎、青木睦、伊藤然、大西愛、小川千代子、(1名欠)、事務局1名 福島紀子

報告事項
(1)全国大会の報告
「市町村合併時における公文書等の保存について」の要請文を総務省に提出することが総会で確認され、11月28日に総務省学術局長に全史料協会長から手渡された旨の報告が、会長事務局より資料保存委員会宛にあった。

(2)平成13年8月7日付で各都道府県に宛てた自治体史編纂と歴史資料保存状況について調査依頼の経過説明

(3)防災ビデオの最終的な編集作業を継続中

協議事項及び結果
(1)都道府県宛の歴史資料保存状況調査の結果集約について
@集約の方法
時期は、回答を寄せた都道府県や機関への情報の還元のためにも早めにしたい。現段階の調査が終了した時点でおこなう。全史料協会員への報告の方法は、現在の2400件のデータは加工の必要があり、前書きや調査票を人れて報告書に仕立てる。作成した報告書は、都道府県と会員への周知のために平成14年3月に最終碓認をする。版下の作成を次回会議の時までに作成して提示する。
A関係自治体へのアンケート調査
現在自治体史について何らかの動きがある2400自治体へのアンケートは、編纂進行中または完了を迎える自治体が対象であり、全史料協への入会も勧められるので、年度内に次段階のアンケートを実施する。
B全史料協の取り組みの普及
全史料協の取り組みをアピールするのであれば、自治体史編纂に関わる白治体
のみでなく、市町村合併を射程において3200の全自治体に対しておこなう必要
がある。 「全国自治体要覧」に付随するタックシールの購入を会長事務局に依頼
したい。全史料協パンフレットの増刷をして、全自治体に送付する必要もあろう。

(2)市町村合併時における公文書等の保存についての今後の取り組み
@市町村への要請文は全自治体へ送付したい。総務省に会長名で要請文を出したこと(11月28日付)を盛り込んで、全自治体および市町村会、各県へ会長名で出したい。事務処理は資料保存委員会でおこない、新年度4、5月の内に発送できるように、2月の役員会で提案したい。なお、要請文については、早急に会報に載せてもらうよう編集出版委員会へお願いする。

(3)研修会の実施について
@「資料保存研修会−被災史料の救助と保存管理−」を山陰史料ネットワークとの
共催で実施する。具体案と日程については、関係者と連絡をとり、調整する。案内通知、参加申し込みなどについての事務手続きは、資料保存委員会事務局でおこなう。近畿部会にも呼びかけ、普及をはかりたい。
A自治体史編纂での資料保存」の研修会を関東部会との共催で実施する。
自治体史編纂での資料保存アンケートの結果について、集計状況を途中経過の形で資料保存委員会から報告し、 意見を聞く会とする。会場は千葉県文書館。呼びかけは関東部会については関東部会事務局を中心として、 それ以外は資料保存委員会でおこないたい。

(4)報告書の編集発行
自治体史編纂の調査結果を次年度報告書とする。今年度は、アンケートに回答いただいた都道府県宛に表を作成して報告にかえたい。

(5)その他
@『文書館の防災に向けて』『資料が燃えた』の販売と普及、及び「文書館防災対策の手引き」(防災マニュアル)を全史料協親会のホームページに入れるよう、資料保存委員長から編集出版委員会にお願いする。
A役員会への要望事項
・全史料協関連のホームページの管理は負担が大きく、逐次更新することが困難なので、委託等により専従の管理者をもうける必要があるのではないか。
・現在会長事務局に配置されている専従事務局に資料保存委員会からの仕事を依頼したい。ホームページ管理と合わせて、全体に関わる仕事を依頼することが可能かどうかの確認をする。
・電子記録について、予算化して予備調査を行うので資料保存委員会としても配慮をお願いしたい。
Bその他
次回第4回資料保存委員会は、関東部会との合同研修会の開催日の午前に行う予定。

[報告]
1、第27回全国大会総会(平成13年11月7日)
@「市町村合併時における公文書等の保存について」の要請文について、資料保存委員会から、経過説明と提案をしました。
A自治体史編纂状況についての都道府県宛アンケートの集約について、資料保存委員会から、経過と集約方法を報告しました。

2、平成13年度の研修会の開催について
@報告会「自治体史編纂での資料保存」
平成14年3月16日(土)、千葉県文書館で、関東部会と共催で開催します。
開催の案内通知は、2月に発送します。
A研修会「被災史料の救出と修復」
平成14年3月29日(金)・30日(土)
鳥取県日野町で、山陰史料ネットワークと共催で開催します。
開催の案内通知は、2月に発送します。

3、「文書館防災対策の手引き」は、全史料協のホームページで公開しています。


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